スペイン在住者がお伝えします!リアルな春の気候と特徴(3月~6月)

日本で春というと、段々と暖かくなっていく気候に寒さからの緊張感も緩み始め、何となくウキウキしてしまうシーズンですよね。

春と言えば梅、桜、お花見と季節を愛でる日本人の習慣や文化が残念ながらスペインにはなく、日本のように四季がはっきりと分かれていないスペインでは、春も秋同様イマイチはっきりしない気候だったりします。

やっぱり夏のイメージが強いスペインだけあって、実のところスペインの春、秋シーズンは正直に言ってしまうと気候的にはちょっぴり地味なんです。

それでも日本では、春は卒業旅行シーズンやゴールデンウィークがありますし、秋は連休が多い時期ですから、春や秋にスペイン旅行を予定する方って多いのではないでしょうか?

スペインの気候は、一年中温暖でいつもお天気が良いと思われがちで誤解が多いのですが、実際は地域によって気候の特徴がかなり違います。

と、言うワケでここでは、実際にスペインに住んでいると感じる私なりの解釈で、でも誇張することなくリアルなスペインの3月~6月にかけての春の気候の特徴をご説明してみたいなと思います。

スペインの3月~6月の気候の特徴

日本の気候は、本当にとても恵まれていて、四季がはっきりと分かれているおかげで日本に住んでいると自然とそれぞれの四季を楽しむ習慣が身についてしまいます。

スペインの四季は、日本のようにはっきりと分かれてはいません。春と秋は夏に向かっているか、冬に向かっているかの違いはありますが、春も秋も一般的に雨が多く天気も不安定なのが特徴です。

スペインは、地域によってかなり気候の特徴が異なります。そのため春という季節もそれぞの地域で訪れる時期が異なります。6月になってやっと春が訪れる地域もあるためここでは、春という季節を3月~6月としてみました。

各地域の詳しい気候の特徴は、下記の地域別 スペインの3月~6月の気候の特徴でご説明していきたいなと思います。

●地域によって春の訪れる時期が異なります。

ここでは、3月~6月を大きく春という季節で分けてお話することにしました。でも四季のはっきり分れた日本の気候に慣れている私達にとっては、『え?6月はもう初夏でしょ?』と思いますよね。

というのもスペインの国土は、かなり広く地域によって、3月頃から春の陽気が漂い始め、6月にはもう初夏、と言うより真夏のような暑さが訪れる地域もあれば、3月頃はまだまだ真冬で、6月頃やっと春の陽気が漂い始める地域もあり、地域によって春の訪れる時期がかなり異なるからなんです。

地域別のところで詳しくお話させていただきたいなと思いますが、暦の上では3月半ば過ぎには春分の日を迎え春が訪れるはずですが、スペイン国内で3月に春の陽気を感じる地域と言うのは、地中海沿岸地域やスペイン南部の地域ぐらいでしょう。

実は、それ以外の地域ではまだまだ冬の気候と変わらない地域が多いんです。

●雨がよく降り、天気が不安定で曇りがち

秋同様3月~5月にかけてスペインでは、雨が降る事が多く、天候も不安定で曇りがちです。雨ならいいですが、スペイン内陸部では、5月頃急に寒さがぶり返し雪が降る事もあります。

10年以上スペインに住んでいてつくづく感じるのが、スペインは春と秋に雨がよく降るということ。

冬の寒さが少しづつやわらぎ始めると天気が不安定になり、曇りがちで雨が降る日が続き、急に降らなくなります。
すると、気候もだんだんと暖かくなり春っぽくなっていきますが、スペイン南部に限っては、雨の時期が終わると突然暑くなり春を通り過ぎてもう夏がやってきます。
スペインの春に降る雨は、日本の梅雨時のように1か月近くザーザーと強い雨が降り続けるというわけではありませんが、地域によってはこの時期かなりの降水量をもたらす地域もあります。
こうして雨が降りながら少しづつ季節が切り替わっていくんだな~と感じますが、『春と言えばお花見!!』日本人としては、この時期どうしても桜の花を愛でたくなります。
“四季折々の美しさを視覚で楽しむ”といった習慣を持たないというか、気候的にそれが楽しめないスペインでは、春と秋にやはり何となく物足りなさを感じて残念な気分になりがちです。
海外生活が長くなればなるほど、そういった日本の文化が年々恋しくなっていくものです。
でも、スペイン南部や内陸部では、アーモンドの産地になっている地域があります。アーモンドの収穫用なので低木ですが、広い敷地一面がアーモンドの木で埋め尽くされたような地域にでくわすことがあります。アーモンドの花は、色は白っぽいのですが、ほんのりピンク色で桜の花によく似ています。
これから長期でスペインに滞在する予定の方は、春の時期に桜の花が恋しくなったら、近所や近郊にアーモンド畑を探してみるといいかもしれません。お花見をした気分になって春の訪れを感じる事ができますよ!
●日差しがだんだんと強くなり始めます。
スペインは、日本と比べると日差しがとても強く、春先から徐々に日差しの強さも増していきます。日本では、夏でもあまりサングラスを普段から使用する方は、多くないですよね。
でもスペインでは、サングラスは絶対に必需品です!!
スペイン南部では、3月~6月は春と言うよりもすでに夏の陽気です。この時期に地中海沿岸地域に当たるバルセロナやアンダルシア地方を訪れる方は、サングラスを持参された方がよいでしょう!!
あと、強いのは日差しだけではなく、紫外線も強く、3月~6月にこれらの地域を訪れる方は、日焼け止めクリームの使用もおすすめします!!

地域別 スペインの3月~6月の気候の特徴

スペイン北部

バスク地方、カンタブリア地方、アストゥリアス地方、ガリシア地方は、横並びに北大西洋に面したスペイン北部の地域に当たります。
スペイン北部は一年中雨が多く、その豊かな降水量のおかげでスペイン国内でも最も緑が豊な地域です。
北大西洋に面していて、なおかつ一年中雨が降っているとなると、かなり寒い地域なのでは?と誤解をされやすいのですが、実はメキシコ湾流がもたらす暖流の影響で、年間を通して気温がほぼ一定で、冬でもそれほど厳しい寒さになる事はありません。
3月~6月にかけての気候の特徴はどうかと言うと、気温は一年を通してほぼ一定ですが、この時期の平均的な最高気温は、15度~20度前後、最低気温は6度~10度前後と言った感じです。
3月頃から気温も少しづつ上がっていき、4月頃から最高気温も20度を超える気温になります。6月に入ると降水量も減り、スペイン北部では珍しいケースですが最近では異常気象の影響もあり30度を超える気温になる事もあります。
スペイン北部では、常に雨の多い地域のため季節に関係なく降水量が多いのですが、6月頃から降水量が少しづつ減り始めると、春というよりはもう初夏と言った感じです。
この地域の気になる服装ですが、気温は低くもなく高くもない、でも雨が比較的多いとなると3月~6月はどんな服装を用意したらいいのでしょうか?
3月~4月は、まだ冬の服装を用意した方が無難でしょう。気温が上がり始める5月~6月は、日本の春先のような服装に、ウィンドブレーカーのような防水もできそうな薄手のジャケットも用意しておくと、突然の雨にも対応できるので便利でしょう。
スペイン北部は、6月~7月にかけて晴れ間が見える日も増えていきますが、基本的には曇りがちな日が多い為、気温はそれほど低くなくても体感温度は低めに感じる事もあります。やはり、薄手の上着は用意しておかれるのが無難でしょう。
また、最近は異常気象の影響もあり、5月頃からスペイン北部でも30度近い気温になるような暑い日になる事があります。念のため5月~6月に滞在予定の方は夏服の用意もしておいた方がよいかもしれません。寒い思いをすると思っていたら暑くて仕方がなかったなんてこともあります。
とにかく、スペイン北部の気候は雨が多いということもあり天気の良し悪しが分かりずらいことが多いです。3月~6月にスペイン北部を訪れる方は、日程が決まったら出発日間近にその日程のリアルな天気予報の情報を確認することをお勧めします!
下記でおすすめのお役立ちお天気サイトをご案内しています。そういったサイトでよりリアルでなるべく正確なお天気情報を確認されるのがよいでしょう。

スペイン内陸部(北部)

マドリードを中心に北部に位置するカスティーヤ・イ・レオン地方やアラゴン地方は、スペイン国内でも春の訪れが一番遅く、冬の期間が長い地域です。
5月後半~6月に入るとやっと春らしくなり、厳しい寒さも少しづつ和らいでいきますが、5月に入って突然また寒さがぶり返す事もあり、油断は禁物です。
3月~5月にこの地域を訪れる方は、まだまだ完璧な防寒対策が必要と言えます。6月に入ると春と初夏が入り混じるような天候の日もあり、夏服が着れそうな日もありますが、まだまだ念のための上着はあった方が無難です。
ちなみに、以前カステイィーヤ・イ・レオン地方に住んでいた私は、7月8月の夏場でも朝と夜はかなり寒いため、上着は必ず持ち歩くようにしていました。
6月は寒さが和らいできたとは言え、最低気温は10度以下だったりします。朝と夜は、まだまだ寒いので上着はまだまだ手放せません。
この地域の3月~5月の気候の特徴は、11月~2月の冬の気候の特徴をご参考にされた方がよいでしょう。こちらの記事もご覧ください。⇒地域別 スペインの11月~2月の気候の特徴 スペイン内陸部(北部)

スペイン内陸部(南部)

マドリードより南部に位置するエストゥレマドゥーラ地方、カスティーヤ・ラ・マンチャ地方は、乾燥した土地で年間を通しても降水量が少なく雨が降る事は、春でもあまりありません。

3月~4月頃までは、冬の気温とあまり変わらず最高気温が15度前後、最低気温が7度前後とまだまだ服装も冬の装いが必要ですが、お天気がいいとポカポカと暖かさを感じる事もあります。

エストゥレマドゥーラ地方、カスティーヤ・ラ・マンチャ地方は山間部が少なく、どこまでも果てしなく広い平原が続きます。

3月下旬から4月にかけてその平原に可愛らしい野草が開花し始め、一面黄色に色づいているのを見かけたり、可愛らしい玉のような黄色の花をつけるミモザをよく見かける事もあります。

春の代名詞、“満開の桜”を見かけることはスペインでは難しいですが、これらの地域では、黄色、紫、白色のかわいらしい小さな花が道端や空き地、平原に咲き始め春の訪れを知らせてくれます。

5月~6月頃は、最高気温が22度~30度近くまで上がり、気候的には初夏と言った感じです。

ドン・キホーテで有名なカスティーヤ・ラ・マンチャ地方には、世界遺産の街 トレド、宙づりの家で有名な クエンカなどの人気の観光地があります。

また、エストゥレマドゥーラ地方には、ペルーのインカ帝国を征服したピサロなどの征服者を多く輩出した街 トゥルヒーヨ、かつての貴族の大邸宅が多く残る中世の街 カセレス、町全体がミニローマのようなローマ時代の遺跡を多く残す街 メリダなどの魅力的な観光地があり、見所いっぱいの魅力的な地域です。

これらの地域を訪れるなら、寒さも和らぎ始め、まだ真夏の暑さが始まらない3月~6月は、気候的にはベストシーズンと言えます。

ちなみに、スペインの中心に位置するマドリードの3月~6月の気候の特徴は、どの地域に属するかというと、マドリードの中心市街に関してはどちらかと言うと内陸部南部の気候の影響が強いと言えます。

マドリードでは3月~4月頃までは、冬の装いが必要になります。5月は雨が降る事もあり突然冬の気候がぶり返し寒くなったかと思うと、突然初夏のような夏日になる事もあったりと気候が不安定になる事がありますが、一般的には5月頃に春の気候が訪れ6月には初夏といった感じです。

スペイン東部~南部の地中海沿岸地域と地中海に浮かぶバレアレス諸島

バルセロナが首都のカタルーニャ地方から地中海沿いにバレンシア地方、ムルシア地方、アンダルシア地方と続くこれらの地域と地中海に浮かぶバレアレス諸島は、長い夏と短い冬の二つの気候しか存在しないと言ってしまってもいいでしょう。

と言うのも、5月初旬から初夏が始まり、10月下旬頃にかけて夏が終わり始めるといった感じで、夏の期間が長く、また真冬と言う真冬も存在しないため、1年中温暖な気候だからです。

ではこの地域に関しては、春という気候は一体どの時期の事を指すのか?しいて言うなら3月~4月下旬まででしょう。でも、この地域の春はもうすでに初夏のような気候で夏の装いが必要な日もあります。ビーチに水着を来て出かけ始めるのも3月頃です。

スペインでは、春や秋に雨がよく降るのが一般的ですが、これらの地域では春でもめったに雨が降る事がなく、代わりに突風がよく吹きます。スペイン内陸部で全体的に雨が降り天候が荒れていたりすると、これらの地域では代わりにとても強い突風が吹き荒れます。

地中海沿岸地域は、風が吹く事が多い地域ですが、春先は特に強く、突風が吹かなくなり天候が安定してくると真夏がやってきます。この地域に関しては、6月は初夏ではなく、もう真夏と言えます。

スペイン南部、アンダルシア地方の内陸部で人気の高い観光地としてよく知られているのが、グラナダ、コルドバ、セビーリャですが、3月~4月頃は雨が降る日もあり、天候が不安定ですが、5月頃からは春と言うよりも初夏のような気候ですでに、日中はかなり暑くなります。

5月以降にこれらの地域を訪れる方は、夏服の用意もしておいた方がよいでしょう。

グラナダは、シエラネバダ山脈の麓に位置しているため、気温が少し低めです。3月~4月は日中は暖かくなりますが、朝夕はかなり冷え込み、冬のような防寒対策までは必要ないですが、長袖の服装にプラスして寒さをしのげるような上着はまだあった方がよいかもしれません。

5月~6月は気温も最高気温が25度前後になり、春の陽気ですが、それでも朝夕は冷えるので上着はあった方がよいでしょう。

グラナダは、地中海に面した地域もあり、地中海沿いの町とシエラネバダ山脈に近い町とでは、気候の特徴も異なります。

グラナダ市内を中心に観光する方は、グラナダ市内の気候を確認しましょう。もし、シエラネバダ山脈の山間にある白い街などを訪ねる観光や、グラナダ県内のビーチリゾートに行かれる方は、それぞれの場所ごとに気候をお天気サイトで確認するのがよいでしょう。

下記にご案内のお役立ちお天気サイトでは、スペイン国内の町ごとの気候の特徴も分かるので便利です。

北大西洋に浮かぶカナリア諸島

アフリカ大陸のすぐ横に位置する北大西洋に浮かんだ島々がカナリア諸島です。

スペインの国内線で気軽に行ける距離で、また気候も一年中温暖で安定しているので時期に関係なく行けるリゾート地としてスペインでも人気のリゾート地です。

中でも人気のグラン・カナリア島、テネリフェ島、ランサロテ島、フエルテベントゥラ島、その他3つの島でカナリア諸島はなりたっています。

カナリア諸島は火山の島、砂漠の島、亜熱帯の島など島によってさまざまな特色があり、訪れる島によって雰囲気も違いますが、気候は一年中安定した温暖な気候です。

カナリア諸島の気候は一年中安定しています。3月~4月にかけて気温が少し上がりますが、平均して最高気温が23度前後、最低気温が15度前後と他の月とも大差がなく温暖な気候です。

日本でいう春から初夏のような気候と感じが似ていると言えます。この時期にカナリア諸島を訪れる方は日中は暑くなるため夏服の用意で大丈夫ですが、湿度のないカラッとした気候の為、朝夕、日中でも日陰に入ると肌寒く感じる事もあるので薄手の上着やジャケットなどはあった方がよいでしょう。

スペインの春のお祭りに出かけてみよう!

お祭りの多いスペインですが、春から夏にかけては興味深いお祭りがスペイン各地で開催されます。最近では、ガイドブックで紹介されたり、お祭りを目的としたパッケージツアーなどもあり、日本でもスペインのお祭りが知られるようになりました。

ここでは、いくつかあるお祭りの中でも、スペインの独特な文化が感じられ、見ごたえがあり、見ていてワクワクしてしまう、わざわざ行く価値のある魅力的なお祭りを厳選してご紹介してみたいなと思います。

Semana Santa(セマナ・サンタ)

毎年3月中旬から4月中旬にかけてのある1週間にSemana Santa(セマナ・サンタ)と呼ばれる期間がありカトリックの宗教行事がスペイン全国各地で行われます。

セマナ・サンタとは、“聖週間”という意味ですが、『いったい何??』と思われる方が大半でしょう。でもイースターと言い方を変えると、実際にはよく知らなくても『あ、知ってる!!』と思われる方も多いのではないでしょうか?

でも、スペインのセマナ・サンタは、私達が知っている可愛く装飾された卵や可愛いウサギさんが登場するイースターとは異なり、かなり厳かな宗教儀式ですが、1年に一度この時期だけに見られるとても興味深い宗教行事で、一見の価値があります。

『え?宗教?キリスト教とかカトリックとか特に興味ないな~』と思われる方もいらっしゃると思うのですが、宗教やキリスト教に特に興味がない方でも楽しめるようにここでは、スペインの『セマナ・サンタって具体的には、いつなの?』『セマナ・サンタって一体、何?』『セマナ・サンタは、どこで楽しむ?』『セマナ・サンタを楽しむコツは?』の4つのテーマに分けてお話してみたいなと思います。

『セマナ・サンタって具体的にはいつなの?』

まず、セマナ・サンタの時期ですが、毎年スタートする日付が違います。と言うのは、セマナ・サンタを決める日付には、月暦を利用したある規則によってその日を決めているからなんです。

その規則とは、『復活祭の日曜日は、3月22日より前もしくは4月25日より後になる事はありえない。そのため春分後の最初の満月の次の日曜日が復活祭の日曜日になる』というものです。

例えば、2019年の春分の日は3月21日、その春分後最初の満月は4月19日、その満月の次の日曜日は4月21日、と言うわけで、復活祭の日曜日は4月21日になります。

昔は、学者が集まって満月の日を割り出す計算をしたり、計算する式が開発されたり、アルゴリズムの代数が発達してからは、簡単な演算によって復活祭の日曜日を割り出されるようになったりと色々苦労があったようですが、現代ではインターネット環境さえあれば、来年又は再来年、もしくはその先のセマナ・サンタだって簡単にその正確な日付を検索できます。

と、いうわけで、3月中旬から4月中旬にかけてスペイン旅行を計画している方や、ちょうどその時期にスペインに滞在している方は、セマナ・サンタの日付を検索してスペインのセマナ・サンタを過ごしてみるのはいかがでしょうか?

きっと貴重な体験ができると思いますよ!!

『セマナ・サンタって一体、何?』

スペインでは、“セマナ・サンタ”と呼びますが、イースター(復活祭)の事です。

イースターといってもカトリック教徒が少ない日本では、可愛く装飾された卵やウサギさんのお菓子やデコレーションを思い浮かべることはできても実際には、どんな意味があるのか?どんなお祭りなのか?ピンとくる方は、あまり多くないのではないでしょうか?

スペインのセマナ・サンタは、キリストの復活を祝うお祭りと言うよりも厳粛な宗教行事といった印象の方が強く、お祭り好きのスペインで唯一宗教色が強い厳粛で神聖な行事と言えます。

宗教色が強いため、スペインのセマナ・サンタを一からお話してしまうとおそらく堅苦しくて宗教などに興味のない方は、全く関心がなくなってしまうでしょう。

というワケでここでは、スペインのセマナ・サンタを違った視点で楽しむために、『これだけ知っていれば十分楽しめるセマナ・サンタの予備知識』をお話させていただきたいなと思います。

まず知っていただきたいのが、“セマナ・サンタ”とは、キリストがエルサレムに入城するDomingo de Ramo(ドミンゴ・デ・ラモ)と呼ばれる日曜日から始まって、キリストがローマ兵につかまり拷問にかけられ、12使徒と最後の晩餐をし、十字架を背負いゴルゴダの丘を登り、十字架にかけられ、キリストの死後復活するDomingo de Pascua(ドミンゴ・デ・パスクワ)と呼ばれる日曜日までの旧約聖書でも一番ドラマチックな“キリストの受難のシーンを1週間で再現”した宗教行事です。

その宗教行事で毎日登場するのがPaso(パソ)と呼ばれるおみこしです。そのおみこしの上にキリストがたどった受難のシーンをリアルでインパクトのある彫刻を施し表現しています。

そのおみこしを担ぎ行列を作って、街のメイン通りを練り歩くのをProcesion(プロセシィオン)と呼んでいます。そしてそのProcesion(プロセシィオン)を見学するのがスペインのセマナ・サンタの見所なのです。

●セマナ・サンタ 1週間の日程

・Domingo de Ramo(ドミンゴ・デ・ラモ)聖枝祭り

セマナ・サンタがスタートする最初の日曜日で、この日はロバに乗ったキリストが枝をもってエルサレムへ入城するシーンのパソ(おみこし)を担いだ行列が街を練り歩きます。

・月曜日はLunes Santo(ルネス・サント)、火曜日はMartes Santo(マルテス・サント)、水曜日Miercoles Santo(ミエルコレス・サント)と毎日キリストやマリア像の立派な彫刻のパソ(おみこし)を担いだProcesion(プロセシィオン)と呼ばれる行列が街を練り歩きます。

・Jueves Santo(フエベス・サント)聖木曜日

セマナ・サンタの1週間の中でも重要なのがこのJueves Santo(フエベス・サント)聖木曜日とViernes Santo(ビエルネス・サント)聖金曜日でスペインではこの2日間はカレンダー上も祝日となっています。

聖木曜日は、様々な宗教画で常に題材となる最後の晩餐のシーンを祝う日で、いよいよセマナサンタもクライマックスに近づきつつあるといった雰囲気が高まります。

この日は、Procesion(プロセシィオン)でも最後の晩餐のシーン、十二使徒の一人、裏切り者ユダとキリストのからみのシーン、キリストがローマ兵にむち打ちの拷問を受けるシーン、キリストが十字架を担いでゴルゴダの丘まで登るシーンなどがとてもリアルで緻密な彫刻で表現されたパソ(おみこし)が登場します。

・Viernes Santo(ビエルネス・サント)

Jueves Santo(フエベス・サント)聖木曜日に引き続き重要なのがViernes Santo(ビエルネス・サント)聖金曜日です。

この日は、いよいよキリスト受難の日、キリストの死を記念する日でセマナサンタもクライマックスにさしかかります。セマナ・サンタの1週間の中でも一番ドラマチックで感動的な日となり、スペインでは誰もがこの日のProcesion(プロセシィオン)を待ち望んでいる観があります。

この日に登場するパソ(おみこし)は、キリストが十字架にかけられたシーン、十字架から降ろされたキリストをマリア像が抱きかかえるシーン、心臓に剣がいくつも刺さり大粒の涙を流す悲壮感たっぷりのマリア像、棺に納められたキリスト像などが登場し、行列に参加した参加者全員がキリストの死を嘆き悲しむセマナ・サンタのクライマックスとも言える日となります。

●セマナ・サンタのスペインの習慣

スペインのご家庭では、キリスト教の教えに基づいてセマナ・サンタの1週間は、肉を食することを絶つ習慣があります。

と、言っても現在のスペインでは、厳粛で敬虔なカトリック信者は、稀になりつつあり、セマナ・サンタに肉を食さないのは、もはやただの伝統的な習慣になりつつあって、宗教的な教えに基づいているという感じではないのが現状です。

とは言っても、これもご家庭の事情によります。もちろん今でも家族全員が熱心で敬虔なカトリック信者というご家庭もありますし、教会へは結婚式とお葬式以外は、足を運ぶことはないというご家庭もあります。

ご家庭によって事情は様々で、セマンサンタに肉を食さないのは、まぁ伝統的な習慣だからと金曜日だけというご家庭も現在では多くあります。

と、いうわけでスペインでは、セマナ・サンタが近づくとあちこちのスーパーで塩漬けした干ダラの販売がいつも以上に積極的に始まり、干しダラの特別コーナーが目に付き始めます。というのもセマナ・サンタには肉の代わりに魚を食するため、スペインではタラを使った料理を食べるご家庭がほとんどだからです。

セマナ・サンタの時にだけ食べられる料理やお菓子なんかもあり、地域によってその特色も異なります。

『セマナ・サンタはどこで楽しむ?』

セマナ・サンタの宗教行事は、スペイン全国各地の町単位で行われ、どこにいてもProcesion(プロセシィオン)を見ることができます。町や村の大きさによってその規模は異なりますが、セマナ・サンタの宗教行事を行わない町はスペイン国内では、まずないでしょう。

というわけで、どこにいてもProcesion(プロセシィオン)を見ることができるのですが、スペイン国内でも特に有名で特徴的なのがセビーリャ(Sevilla)やマラガ(Malaga)、バヤドリッド(Valladolid)のProcesion(プロセシィオン)でしょう。

セビーリャ(Sevilla)のプロセシィオンは、毎年テレビでも生中継されるほどで、そのプロセシィオンを一目見ようと集まる観光客の数も相当なものです。

中でもきらびやかに装飾されたマリア像のパソ(おみこし)は必見です。セビーリャのセマナ・サンタは、とにかくマリア像を一目見ようと多くの人が集まると言っても過言ではありません。マリア像が登場すると感極まって涙を流す観客も多くいます。

あと、セビーリャのセマナ・サンタで特徴的なのは、Saeta(サエタ)と呼ばれる宗教歌が歌われることです。Procesion(プロセシィオン)の行列が広場でいったん立ち止まり、広場にある建物のバルコニーにフラメンコ歌手が立ち、サエタを歌うというのが一般的でアンダルシア地方特有の習慣です。

マラガ(Malaga)のプロセシィオンも毎年テレビで生中継されます。マラガのプロセシィオンは、スペインの兵士が参加する事で有名で、また他の地域とは違った緊張感のプロセシィオンの行列が見られます。

完璧に訓練されたスペインの軍人特有の狂いのない完璧な立ち居振る舞いで担ぎ運ばれるパソ(おみこし)や、スペイン兵で構成されたブラスバンドの演奏など、とにかく他の地域ではちょっと見られない独特なセマナ・サンタが楽しめます。

宗教歌のフラメンコ、サエタが歌われたり、ブラスバンドの演奏が高らかに鳴り響くどちらかと言うとかなり演出が大袈裟なアンダルシア地方のセマナ・サンタとはすっかり特徴が異なり、とにかく静寂、沈黙、厳粛を固く守りながら厳かにひっそりとセマナ・サンタの宗教行事を執り行うのが、カスティーヤ・イ・レオン地方のセマナ・サンタです。

中でも有名なのは、バヤドリッド(Valladolid)のセマナ・サンタでしょう。マドリードに首都がおかれる以前、バヤドリッドはかつてのスペインの首都であっただけあり、プロセシィオンで御目見えするパソ(おみこし)は、芸術的なクオリティーも歴史的な重みも違います。

セマナ・サンタ公式サイト情報

・セビーリャのセマナ・サンタ公式サイトはこちらを参照: Semana Santa de Sevilla(英語)

・マラガのセマナ・サンタ公式サイトはこちらを参照:Semana santa de Malaga(英語)

・アンダルシア地方の各地域ごとのセマナ・サンタ情報はこちらの公式サイトを参照:Andalusia(英語)

・バヤドリッドのセマナ・サンタ公式サイトはこちらを参照:

Junta de Cofradias de Semana Santa de Valladolid(スペイン語)

Valladolid Cofrade(スペイン語)

『セマナ・サンタを楽しむポイントは?』

楽しむポイント その1

セマナ・サンタをどこで過ごすのかに関わらず、セマナ・サンタのプロセシィオン(行列)を見学する予定ならまずは、その町の地図を入手した後、セマナ・サンタの公式サイトを必ずチェックしましょう!!

と、いうのも、セマナ・サンタのプロセシィオン(行列)は、毎日ちゃんとしたプログラムが組まれているからです。どの教会からスタートしてどのルートを通ってどこで終わるのかという事まで事細かに日時が日ごとに記されています。

セマナ・サンタでも一番メインとなる聖木曜日と聖金曜日などは、同時に2つの場所からスタートしてある場所で合流するというルートを取る事もあります。

セマナ・サンタの1週間全てのプロセシィオン(行列)を見学してみたい場合は、地図と公式サイトにあるルートをにらめっこしながらどこで見学するのがベストかを見当してみるのがいいでしょう。

プロセシィオン(行列)の行進速度は、とて~もゆっくりしています。重たい木製のパソ(おみこし)を担いでいるという事もありますが、劇的な演出をするためにわざとおみこしを左右に揺らしながらゆっくり進むのが特徴です。

ですので、出来たらそのパソ(おみこし)がスタートする教会で待ち構え、スタート地点で見学するのがおすすめです。でないと、かな~り長い時間、自分が待っている場所を通過するまで待たなければならず無駄に時間がかかってしまったりするからです。

楽しむポイント その2

プロセシィオン(行列)の見学でメインとなるのがパソ(おみこし)を見学する事でしょう。おみこしの上にはキリストの受難のシーンごとに異なった彫刻が施されています。

普通にプロセシィオン(行列)を見学するだけでも、こういったカトリックの宗教行事を見慣れない私達にとっては、かなりインパクトがありますが、ここでは、このパソ(おみこし)の上にある彫刻をただ見過ごすだけでなく、せっかくなので、もう少しマニアックでディープな目線で楽しめるポイントをお話してみたいなと思います。

まず、このパソ(おみこし)の上にある彫刻がさかんに作られた時代というのは、西暦1600年代でバッロク様式が流行った時代です。この時代いったい何があったかと言うと、カトリック教会側のプロテスタントに対抗する宗教革命という動きがあった時代です。

この時代スペインでは、バロックを代表する作者としてグレゴリオ・フェルナンデスという人物が大活躍していました。彼はセマナ・サンタのプロセシィオン(行列)で使用されるパソ(おみこし)を手掛けながら、プロテスタントに対する宗教革命的な要素をその彫刻の中に形作っていきました。

バロック様式の特徴と言うのは、情緒的で本質的で劇的、そしてドラマチック。

パソ(おみこし)の上に施された彫刻には、それらのバロック様式の特徴を強調するために実は、様々な工夫がされているんです。

例えば、彫刻の目にはクリスタル、歯には象牙、爪には動物の角を使用することでより本物の人間に見せる為のリアルさを表現しています。

また、聖母マリア像に見られるような金糸の刺繍が隙間なく施された豪華な衣装は、とにかくごつごつして固く、まるで金属製の衣装の様ですが、これは光と影のコントラストを大袈裟に表現させるための技法で、それによって劇的さを表現しているんです。

そして、それぞれの彫刻が持つ顔の表情や手足の様子は、情緒的で今まさにその場でその出来事が起こっているかのような、動きを感じるようなリアルさでドラマチックに表現されています。

特にキリストの苦しみ、苦痛、苦悩そして死、マリアの苦痛、憂愁を表現した情緒的な表情はバロック様式のすばらしさを完璧に表現しているとも言えます。

また、これらの彫刻をさらにリアルに見せる技法として使われているのがパソ(おみこし)の動きです。ゆっくりと左右に揺れながらそしてさらにゆっくりと前進していくパソ(おみこし)ですが、木製の彫刻の為かなり重いからではありません。

このような独特なリズムでパソ(おみこし)を運ぶことで、彫刻にさらにリアルな躍動感を与えているんです。キリストが十字架を担ぎながらゴルゴダの丘を登るシーンはそのパソの動きによって、まるで本当にその場でその出来事が起こっているかのような錯覚を起こさせ、さらにリアルさを演出しているんです。

彫刻によっては、リアルさを出す為に人間の本物の髪の毛を使うこともあり、それが年々伸び始め、奇跡が起こったと話題になり、熱心な信者などはその奇跡を喜び、感動するなんてこともあるそうですが、実際は、木製の彫刻にしみ込んだ水分によって髪の毛が伸びてくるだけで、奇跡でもなんでもないなんてエピソードもあったりします。

楽しむポイント その3

セマナ・サンタでもう一つインパクトがあって見逃せないのは、やはりファッション・チェックならぬ衣装チェック!!

プロセシィオン(行列)に並ぶCofradia(コフラディア)と呼ばれる組合の人たちの衣装でしょう。

目の部分だけが丸く開いた尖った長い三角の帽子というのかマスクというのか、とにかく顔や頭をすっぽりと隠す為にCapirote(カピロテ)と呼ばれるものを皆かぶり、衣装は体を足の先まですっぽり隠すHabito(アビト)と呼ばれる修道服に長いマントという出で立ち。

えっ??一体、これから何の儀式が始まるの!?と思わずにはいられないインパクトあり過ぎの衣装。

 

セマナ・サンタの行事は夜から深夜にかけて行われることもあり、明かりの少ない暗闇の中、厳かに執り行われる儀式は厳粛で幻想的ですが、何か黒魔術でも始まるんじゃないかと思わせる様なちょっぴりオカルトな雰囲気もたっぷり!!

なぜこんな出で立ちをするのかと言うと、とにかく沈黙を守り厳粛に行事を執り行う為、誰がプロセシィオン(行列)に参加しているのか、誰がパソ(おみこし)を担いでいるのかが分からないように顔を隠す為とか。

でないと、おしゃべりで黙っていられないスペイン人は、かぶりものをしていないと『あ、あそこに近所のおじさんがいる!』とか『オラ~ホセ~』『オラ~パブロ~』とか『あ、パパ~』とワイワイお祭り騒ぎになってしまうからだそうです。(笑)

なんて、話も聞いたことがありますが、本当の理由はそうではなくて、このインパクトのあるCapirote(カピロテ)と呼ばれるとんがり帽子の起源は、宗教裁判やら魔女狩りやらが盛んだった暗黒の中世まで時代をさかのぼります。

宗教裁判で受刑者はこのかぶりものをすることを義務付けられていました。と言うわけで、罪を悔い改める、悔悛の意味を象徴しこのかぶり物を17世紀にセビーリャの組合が使用するようになったのが始まりだそうです。

やっぱりなんだか怖い、オカルトチックなイメージが拭い去れないセマナ・サンタの衣装です~

もう一つ注目なのは、10色もあるという修道服です。中でも一番ポピュラーなのが白、黒、紫。そしてそれぞれの色には象徴的な意味があります。

白は、純潔、キリストの生命。黒は、キリストの死に対する喪と敬意。紫は信仰への精神性と悔悛という意味を持つそうです。その他には、希望、オリーブ山でのキリストの復活を意味する緑、キリストの血と受難を意味する赤。

全てにおいて宗教的な意味合いを持つセマナ・サンタですが、そんなマニアックな視点で衣装チェックをしてみるのも興味深いです。

Fallas de Valencia(バレンシアのファヤス)

毎年3月15日~19日にかけて、バレンシアで大々的に行われるスペインの3大祭りの一つでもある有名なお祭りが、バレンシアの火祭り、“ファヤス”です。

最近では、このファヤスを見るのが目的の期間限定ツアーなどを企画している旅行会社もある程、ファヤスは日本でも知名度が上がってきているお祭りです。

でも具体的には、一体どんなお祭りなのか?一体何がメインなのか?一体何が見どころなのか?よく分からない方も多くいらっしゃると思います。

ここでは、『ファヤスって一体どんなお祭り?』『ファヤスっていつ行くのがベスト?』『ファヤスを楽しむポイントは?』の3つのテーマに分けてお話してみたいと思います。

『ファヤスって一体どんなお祭り?』

ファヤスとは、スペイン語で【Fallas】と表記しますが、何を意味するのかというと、このお祭りのメインとなる巨大な張り子の人形のことです。そしてそのファヤスに参加する人たちを男性はFallero(ファジェロ)、女性は、Fallera(ファジェラ)と呼んでいます。

ファヤスは、火祭りといわれるようにお祭りの最終日3月19日には、このお祭りのメインイベントである巨大な張り子の人形たち、ファヤスをいっせいに燃やしてしまいます。

ファヤスの火祭りは、巨大な張り子の人形を燃やすお祭りで有名になっていますが、実は宗教的な起源を持ったお祭りです。

大体スペインのお祭りは、宗教と絡んでいることが多いです。スペインには、町や村ごとに守護聖人がいて、その守護聖人を崇めた大々的な行事がお祭りだったりします。

それでは、バレンシアの火祭りにどんな宗教的起源があるのかというご説明を少し。

バレンシアの守護聖人は聖ヨセフ。スペイン語では、サン・ホセと呼びますが、簡単に言うとバレンシアの守護聖人サン・ホセを崇めたお祭りがファヤスです。でも、サン・ホセと張りぼての人形と火とどういう関係があるのか???って疑問ですよね。

まずは、サン・ホセ、聖ヨセフって一体誰だっけ?というところからお話しすると、聖ヨセフはイエス・キリストのお父さんでした。そして、彼の職業は何か?というと、大工さんでした。そして、3月19日はカトリックのカレンダーでは、聖ヨセフの日になっています。

聖ヨセフはイエス・キリストのお父さん、そして大工さんだったということで、大工を生業とする人たちの守護聖人でもあり、世の中のお父さんの守護聖人でもあります。と、いうわけで3月19日は、父の日でもあり大工さんの守護聖人サン・ホセの日でもあります。

その昔、冬が明け3月になると大工さんたちが、仕事で残った廃材や古い道具などを集めて燃やしていた習慣がこのファヤスの起源といわれています。最初は廃材を燃やしていただけでしたが、徐々にその習慣もエスカレートしていき、いつの間にやらその廃材を使って人形を作るようになりそれを3月19日のサン・ホセの前日に町の広場や大通りに飾るようになりました。

その後、この習慣はもっとエスカレートしていき、ただの人形が立体的なモニュメント化していき今のファヤスになっていったようです。そして、このモニュメントもだんだんと趣向が凝らされるようになり、そのモニュメントの芸術性や技術性が競われるようになり、最優秀作品には、賞がもたらされるようになり、今の火祭りになっていったというワケです。

『ファヤスっていつ頃行くのがベスト?』

バレンシアでは、年が明けると1月からファヤスに関連した行事がもうすでにスタートし、3月1日にはPlaza de Ayuntamiento(市役所広場)で“Mascletá”と呼ばれる爆竹に点火され町中に激しい爆竹の音を響かせ、いよいよファヤスのお祭り週間が幕を開けたことを知らせます。

さて、それではバレンシアの火祭り“Fallas”を満喫するには、一体いつ頃バレンシアを訪れたらいいのでしょうか?

3月1日から3月19日の間、どんなスケジュールになっているのかをご説明したいなと思います。ファヤスを見にバレンシアを訪れる予定の方は、このスケジュールを参考にバレンシア滞在日程を組むとよいのではないでしょうか?

3月1日にファヤスの幕開けを知らせる“Mascletá”と呼ばれる爆竹は、ファヤスのクライマックス3月19日まで毎日Plaza de Ayuntamiento(市役所広場)で点火されます。

3月1日から14日までは、ファヤスに関連した行事やパレード、などが行われますが、まだまだお祭りのメインとなる巨大な張り子のモニュメント、ファヤスを見ることはできません。

3月15日 “Plantá”

いよいよ、ファヤスの設置開始です!!午前中にはFallas Infantiles(ファヤス インファンティレス)と呼ばれる規模の小さいファヤスがバレンシアの町のあちらこちらの通りに設置されます。

その年の最優秀作品を選ぶため、審査員がファヤスを見て回るため、Fallas Infantilは、午前中には設置が終われるように準備されていきます。

大きなモニュメントもこの日の夜中12時までかかって組み立てられていきます。ファヤスがどのように組み立てられていくのかの工程を見られる唯一の日が15日となります。

3月16日

すでに全てのファヤスがバレンシアの町中に設置され、この日はFallas Infantilesの最優秀作品の授賞式があります。

3月17日、18日

17日には、Fallas Infantiles以外の規模の大きなファヤスの最優秀作品の授賞式があります。そして、17日18日と2日間にわたり“Ofrenda de flores(献花)”が始まります。

バレンシアのカテドラル横のPlaza de la Virgen(ビルヘン広場)に巨大な骨組みだけの木製のマリア像が設置され、そのマリア像の骨組みに花を一本一本差しながらマリア像を完成していきます。

花束を献花しているのは、豪華絢爛な民族衣装をまとったFallera(ファジェラ)の女性たちです。

全体に刺繍の施された質の良い生地、丁寧に手作りされた金糸を使ったレースで仕立てられた独特な民族衣装をまとい、また独特なヘアースタイルに金細工の髪飾りでドレスアップしたファジェラたちは、とても堂々としていて、このお祭りに誇りをもって参加しているという意気込みが感じられます。

3月19日 “Cremá”

いよいよ、ファヤスのクライマックス!!3月15日からバレンシア市内を賑わし、観光客の目を楽しませてくれていたファヤスのモニュメントたちですが、この日なんと、一斉に全てのファヤスに点火され燃やされてしまいます。

火が点けられ大きな炎をあげて激しく燃えていくファヤスを見ていると『え?!燃やしてしまうの!!なんで~もったいない~』と溜息が出てしまいます。

でも、これがバレンシアの火祭りの最後の日を飾るクライマックスなんですね~そして、市役所のバルコニーから見守るファジェラクイーン達も広場前に設置されたファヤスに点火され激しく燃えていく姿をみて大粒の涙を流します。

以上が、3月1日から19日までのお祭りの簡単なスケジュールです。

火祭りファヤスの見どころはなんといっても躍動感あふれる“Ninot”と呼ばれる張り子の人形たちを複雑に組み合わせ組み立てられた巨大なモニュメントを見て楽しむ事です。

日程に余裕のある方は15日の設置シーンから19日のクライマックスまでたっぷりファヤスを楽しんでみるのは、いかがでしょうか?

『ファヤスを楽しむポイントは?』

楽しむポイント その1

ファヤスの一番の醍醐味はやっぱり、3月15日からバレンシア市内のあちらこちらに設置されるファヤスの巨大なモニュメント巡りでしょう!

これって本当にただの張りぼてなの?と疑いたくなるほどファヤスに飾られるNinot(二ノット)と呼ばれる張り子の人形たちは精巧に作られていて、そのカラフルな色使い、今にも動き出しそうな、もしくは今まで動いていたものが突然動きを止めたのでは?と感じるほどの躍動感、とにかく見ていて飽きません。

また、ファヤスに登場する人形たちは、その時世を風刺したものや、あふれんばかりのファンタジーワールドを表現したもの、2014年のファヤスでは、日本スペイン交流400周年を記念して、なんと、ドラえもんやトトロのファヤスも登場したとか、とにかく、私たちの目を楽しませる工夫が満載です!!

Fallas Infantiles(ファヤス インファンティレス)と呼ばれる規模的には小さいファヤスはバレンシア市内の細い通りに所々設置されています。そして、規模の大きいファヤスは広い広場に設置されています。

とにかく町のあちらこちらにかなりの数のファヤスが設置されていて、すべて見学するのはけっこう大変です。そこでおすすめなのは、最優秀作品賞を獲得したファヤスを中心に見学することです。

3月16日には規模の小さいFallas Infantiles(ファヤス インファンティレス)の最優秀作品の授賞式があり、そして17日には、巨大なファヤスの最優秀作品の授賞式があります。

ファヤスをいくつか見ていると、どの作品もとにかくすごくて、個性的で、それぞれにかなりのインパクトがあり、見ていてとても楽しいのですが、だんだんと最優秀作品ってどんなにすごいんだろう?と気になり始め、もっとすごいのを見てみたいとだんだんと欲張りになってきている自分に気づきます。

すると、もうその気持ちは止められません。やっぱり最優秀作品だけは見ておきたいですね!!

楽しむポイント その2

3月15日から19日までの大体のスケジュールは、上記でも触れましたが、ファヤスを100%楽しむためには、ファヤスのお祭りの細かいスケジュールはチェックしておいた方がいいでしょう。

ファヤスのメインイベント、19日の“Cremá”は、モニュメントごとに点火する時間が異なります。

ファヤスの最終日、最後のクライマックスまでしっかり見学する予定の方は、当日どのモニュメント前でそのクライマックスを見学するのかをまずは決める必要があります。

22時になると、小さいFallas Infantiles(ファヤスインファンティレス)から点火されていきます。その後、0時になった時点で最優秀作品賞を受賞したモニュメントと市役所広場前に設置されたモニュメント以外のバレンシア市内の全てのファヤスに火が点けられます。

その後、0時30分に最優秀作品賞に点火され、1時に市役所前広場前に設置された最後のファヤスに点火されいよいよ火祭りもクライマックスを迎えます。

バレンシアの火祭りのスケジュールは事前に公式サイトでチェックするのがおすすめです!!

楽しむポイント その3

バレンシアの火祭りを楽しむメインは、モニュメント巡り、そしてそのモニュメントをすべて燃やしてしまう最終日の“Cremá”ですが、インパクトの強いファヤスに負けず劣らずやはり見逃していただきたくないのは、なんといってもFallera(ファジェラ)達のファッションチェックでしょう!!

バレンシアの火祭りを盛り上げるために献身的に誇りをもって参加するファジェラ達の姿は、身にまとっている衣装もさることながら“美しい”の一言に尽きます。

ファジェラ達が身にまとっている民族衣装は、ファジェラによって生地の色合や柄も、頭からすっぽりかぶるベールのレース、襟元とスカートの前を飾るレースのデザインも異なります。

ファジェラの衣装は、ゴージャスな花柄が色とりどりに織られた豪華な生地で仕立てられていて、それだけでも十分ゴージャスなのに、その衣装の上にはさらに金糸や銀糸を使ったレースで襟元部分とスカートの前部分を豪華に装飾し、頭には総レースのベールをかぶります。

衣装の後ろには大きくて長いリボンが腰からスカートにかけてたらされ、そのリボンの色や形まで衣装によって異なります。

衣装の次に目に留まるのが、ファジェラ達の独特なヘアースタイルです。ぐるぐる巻きにした髪を両耳と頭の後ろに付け、金や銀でできたまた独特な髪飾りで装飾します。

とにかく、ファジェラの姿は溜息が出るほどの豪華絢爛さで、頭の先から足元まで、衣装の前も後ろもファジェラ達のファッションチェックは飽きることがありません。

そんなファジェラ達を多く見かけることができるのが、3月17日、18日に2日間にわたり行われる“Ofrenda de flores(献花)”です。

この2日間は、ファジェラ達が花束を持って、バレンシア市内の各通りからパレードをしながら巨大なマリア像が設置されているカテドラル横のPlaza de la Virgen(ビルヘン広場)まで歩いて行き、マリア像に献花します。

そして、毎年そのファジェラ達の中からFallera Mayor(ファジェラ マヨール)と呼ばれるファジェラクイーン達が選ばれます。

3月19日ファヤスの最終日、市役所広場に設置されたファヤスに点火されると、市役所のバルコニーから大粒の涙を流しながら燃えていくファヤスを見守るファジェラクイーン達の姿を見かけることができるでしょう。

楽しむポイント その4

バレンシアといえば、ファヤスだけではありません。ファヤス目的でバレンシアを訪れたとしても、そのついでに是非お試しいただきたいのが、本場のパエリヤを味わうことでしょう!

スペインといえばパエリヤが名物料理だとご存知の方はとても多いのでが、実はパエリヤはバレンシアの名物料理だということをご存知な方はとても少ないです。

スペインなら各地でパエリヤが食べられると思っていらっしゃる方はとても多いのですが、本当に美味しい本場のパエリヤは、バレンシア以外ではなかなか食べられないという事をご存知な方は少ないですね。

もちろんスペイン国内ならば、パエリヤを食べられるレストランはバレンシア以外にもかなりの数で存在しますが、特に観光地などで、大々的にパエリヤの写真の看板をレストラン前に掲げて、前菜、パエリヤ、デザートで何ユーロとか安価な値段を表示しているレストランは要注意です!!冷凍パエリヤを温めただけで出してくる観光客向けのレストランだったりします。

バレンシアは、スペイン国内でも有名な米所です。バレンシア市内から南に向かって車で30分ほど行くと水田が広がるアルブフェラ湖に着きます。

湖畔近くに位置するEl Palmar(エル パルマール)という小さな町には、それぞれに自慢のパエリヤの味を競うレストランが軒を連ねます。時間があれば足を運んでみるのもおすすめです。

バレンシア市内にも美味しいパエリヤを提供する地元民には有名なレストランもあります。

一体何が違うのでしょうか?お米?だし汁?それとも作り方?とにかく、バレンシアで食べられるパエリヤは、他の地域で食べられるパエリヤとは何かが違うのは確かです。

パエリヤというとシーフードパエリヤやイカ墨のパエリヤを思い浮かべる方が大半だと思いますが、実は本場バレンシアのパエリヤには鶏肉やウサギのお肉、カタツムリ、野菜がゴロゴロ入ったパエリヤ、ロブスターのぶつ切りがゴロゴロ入ったロブスターのお出汁で炊いたちょっとつゆだくのお米料理、お米の代わりに“Fideua(フィデウア)”と呼ばれる短くて細いパスタで作られたパエリヤなどバラエティーに富んでいます。

ご紹介しながらよだれが出てきそうですが、とにかく本当に美味しい本場のバレンシアのパエリヤ、バレンシアを訪れたなら、是非是非お楽しみいただきたいですね!!

バレンシア観光公式サイト情報

・バレンシア観光の公式サイトはこちらを参照:VLC■Valencia(英語)

・政府観光局のバレンシア情報はこちらを参照:スペイン政府観光局 バレンシア情報(日本語)

・ファヤスの公式サイトはこちらを参照:The Fallas Festival(英語)

・2019年のファヤスのプログラムはこちらを参照:VLC■Valencia Fallas Program 2019(英語)

Fiesta de los Patios de Córdoba(コルドバのパティオ祭り)

ここ近年、有名になりつつある春を代表するお祭りが、5月上旬の2週間にコルドバで開催されるパティオ祭りです。

パティオとは、中庭を意味する言葉です。スペインの家屋は中庭を持つ建築スタイルが多いのが特徴で、今も昔も中庭は共有スペースであることが多いです。

実はこのパティオ祭り、ユネスコの無形文化遺産にも登録されているお祭りですが、ここ近年有名になりつつあるといっても、いったいどんなお祭りなのかまだあまり詳しくご存知ない方も多くいらっしゃるでしょう。

あまりにも春らしく、コルドバの特徴的な中庭にあふれんばかりの色とりどりの花や植物が春を謳歌するように咲き乱れ、その小さなパティオを訪れる人たちにワクワクするような胸が躍るような春の喜びを与えてくれる、そんな素敵なお祭りがコルドバのパティオ祭りです。

さてここでは、パティオ祭りをより一層楽しんでいただくために『パティオ祭りっていつ行くのがベスト?』そもそも『パティオって一体何?』『パティオ祭りってどんなお祭り?』『パティオ祭りを楽しむコツは?』の4つのテーマに分けてお話してみたいと思います。

『パティオ祭りっていつ行くのがベスト?』

コルドバのパティオ祭りは、毎年5月の最初の2週間に行われると決められています。ですので、例えば2019年の5月の場合、5月6日(月)~5月19日(日)までの2週間ということになります。

スペインに滞在中の方なら『2週間も期間があるのならいつ行ってもいいんじゃない?じゃあ、今度の週末に行ってみよう!!』と、急にコルドバを訪れることを思い付く方もいらっしゃると思います。

現在アンダルシア地方に住む私も実は、急に思い付いて行った口ですが・・・

『パティオ祭りなんて訪れる人そんなにいないでしょ』と、実は甘く見ておりました。

というわけで、私自身の反省も踏まえてこれから『パティオ祭りに行ってみようかな?』と思っていらっしゃる方に私のような失敗をされないようにアドバイスをさせていただきたいなと思います。

ズバリ、パティオ祭りへは、平日に訪れるのがベストです!!お仕事やお休みの都合で週末以外は無理という方は、仕方がないと思いますが、時間に自由の利く方は、なるべく平日に訪れましょう!!

都合上週末に訪れる方は、とにかく早起きしましょう!!パティオのオープン前にコルドバの旧市街には到着しておきたいですね!!

基本的にパティオはスペースがとても小さく、どのパティオも入り口で人数制限をしてパティオに入れる人数しか中に通してもらえません。

ですので、必然的に人気のパティオには、訪れる人の行列ができ、週末ともなると観光客も増え、まるでどこかのテーマパークのように一つのパティオ見学に1時間以上待つのが普通だったりします。

私がパティオ祭りに行った週末、バルで朝食をとっていると地元の新聞の見出しが目に飛び込んできました。

『パティオ祭り訪問者、2日半で18万5千人』という見出しとコルドバのユダヤ人街の狭い路地にびっしりと観光客が列を作っている写真を見た時、コルドバのパティオ祭りを甘く見ていた自分を思い知りました。

コルドバに住む地元の人に聞いてみると『平日はこんなに列もできないよ~』とのこと。もちろん、パティオの人気度にもよると思いますが、週末に比べると観光客の少ない平日はやはり狙い目のようでした。

『パティオって一体何?』

ここではまず、そもそもパティオって何?っていうお話からしてみたいなと思います。

パティオとは、簡単にいうと家の建物の中心にぽかんと空いた筒抜けの空間、中庭のことを指します。そして住居は、そのパティオ中心にぐるっと取り囲む形で存在します。

この独特な建築スタイルは、スペインではとても一般的でコルドバ以外の地域でもパティオを持つ住居はあちらこちらで見られます。現在でもスペインでは、パティオスペースを持つマンションも多く見られます。

このパティオの歴史を辿ると、面白いスペイン文化を知るルーツ、コルドバのパティオ祭りのルーツが見えてきます。

色とりどりの様々な花が咲き乱れるパティオを、ただ単に満喫するだけでも十分楽しいパティオ祭りですが、どうせならまた違った目線でパティオ祭りを楽しんでいただきたいという思いから、パティオのルーツのお話もさせていただきたいなと思います。

コルドバのパティオの歴史は、とても古くなんとローマ帝国支配時代までさかのぼります。

ローマ人が住まいとしていた家には、中庭がありその中心には噴水や溜め池があったり、床がモザイクで装飾されていたり、大理石の彫像が置かれていたりと、生活のゆとりや優雅さなどが感じられます。

その影響もあり、コルドバのパティオでは、今でも中心に小さな噴水や井戸があるパティオを見かけることがあります。

どちらかというと、生活スペースの一部というよりは憩いのスペースであったパティオが、歴史の流れに翻弄されながら、生活スペースの一部へと変貌していきます。

コルドバという町は、大まかに言うと、ローマ帝国の支配下後、イスラム教徒に占拠されその後キリスト教徒がレコンキスタにより領地を奪い返すという歴史の流れがあり、その歴史に翻弄されながら、パティオもその時代、時代に合わせて使用目的も変化していきます。

この時代の流れによってコルドバには、村から都市へ多くの人の移住が始まります。多くの人が都市に移住し始め、不足したのが住居でした。そこで、パティオを持つ邸宅が集合住宅化していくのです。

その時代パティオは、完璧に生活スペースの一部、それも共有スペースとなっていきます。

パティオをぐるっと囲んだ居住スペースには、寝室だけの簡単な部屋が何部屋もありそこにいくつかの家族が住み始め、一階部分のパティオスペースには、台所、トイレ、洗濯場などの水回りが設置され、その建物に住む各家族の共有スペースとなっていきました。

すごい変貌です!!邸宅から庶民の集合住宅化したこの建物は、“Casas de vecinos(カサス・デ・ベシノス)”と呼ばれるようになり今現在に至ります。

このカサス・デ・ベシノスは、別々の家族が住む集合住宅ですが、パティオという共有スペースにより独特な関係が生まれていきます。

パティオという物質的スペースの共有だけでなく、次第にそれぞれの家族の冠婚葬祭まで一緒に祝ったり弔ったりするうちにメンタル的な部分の共有によって、強力な連帯責任や団結心が生まれ、家族以上に家族のような関係が知らず知らずのうちに築かれていったようです。

何かあったらお互いに手を差し伸べ、楽しいことは皆で分かち合う。それが、カサス・デ・ベシノスの利点であった古き良き時代は、時代の流れと共に徐々に忘れ去られつつあり、それが現代では、カサス・デ・ベシノスの欠点となり、カサス・デ・ベシノスの住民のほとんどは、老朽化する建物よりも快適さ、共有スペースよりもプライベート空間を求めて、離れつつあるのが現状のようです。

パティオ巡りをしていると、今はもう使用されることのないギザギザの洗濯板を置いた洗濯スペースや、昔の面影を残すためにアンティークのキッチングッズを壁にかけた台所スペース、井戸などが、パティオを飾る花に埋もれて垣間見ることができる家もあります。

パティオ祭りは、花で綺麗に装飾されたパティオを見るのがメインのお祭りなので、かつてのパティオの面影は注目されませんが、そんな細かなところもチェックしながらパティオの古き良き時代を感じていただくのもパティオ巡りの別の楽しみ方かなと思ったりします。

『パティオ祭りってどんなお祭り?』

恥ずかしながら、スペインに長年住んでいるのにも関わらず、“パティオ祭り”って、コルドバに観光客を呼び寄せるために、ここ近年始まったお祭りなのかな?と実は思っていた私です。

ユネスコの無形文化遺産に登録されるようなお祭りが、最近始まったワケがないと思い、調べてみることにしました。

なんと、このパティオ祭り、最初に行われたのは、1921年。起源は、今から100年近くも昔のことでした。

その昔、セマナ・サンタ(イースター)になると、カサス・デ・ベシノスの住民たちは、それぞれの住居の窓に人形をぶら下げ、それをそこに住む住民同士で競い合い、それが別の家のパティオ同士で競い合うようになり、聖木曜日がくるとそれぞれのパティオに祭壇を作り、黒や赤の布で覆い、中心に十字架を立て、様々な聖画や聖像を置き、花やろうそくで飾る習慣が始まりました。

どうやらこの習慣がパティオ祭りの原型、始まりのようです。

1921年の第1回パティオコンクール以降、1933年に再度開催されるまで行われる事がなかったパティオコンクール。

再び開催されますが、その後またもや歴史に翻弄されることになります。スペイン内戦が勃発し1944年までまたもや開催される事がありませんでした。

1950年代になって、その時の市長により、観光目的としてパティオ祭りにもっと力を入れようという流れになり、パティオコンクールの賞金も増え、また賞をとれなかったパティオに対してもパティオにかかる費用の経済的援助が市役所から出るようになり、町全体で盛り上げて行こうという事になります。

そして、コンクールだけでなくフラメンコや音楽コンサートも取り入れ大々的なお祭りとして、1956年にプログラムに沿って開催されたパティオ祭りを皮切りに現在までパティオ祭りが続いているようです。

お祭りの背景や歴史を知ると、やはり祭りごとは平和の象徴なんだなと感じずにはいられません。

さて、すったもんだあったパティオ祭りですが、昔からこの“Fiesta de los patios(パティオ祭り)”は、コルドバ市役所が開催している“パティオコンクール”と言うのが本当のところです。

毎年50軒近くのプライベートのパティオが参加し、それぞれにパティオの美しさを競い合います。

お祭り期間中は、コンクールに参加しているパティオが一般公開されているため、普段は見ることができないプライベートなパティオも扉が開かれ、誰もがパティオの中に入ることができます。

パティオ祭りに参加するコンクール参加者は、各自のパティオ内の鉄格子、バルコニー、格子窓に至るまでとにかく隙間がないほどに全ての壁を花で飾りつくします。

アンダルシア特有の暑さを回避する工夫が施された建築スタイルのパティオは、石灰が塗られ白い壁が特徴でその白い壁には、ゼラニウム、カーネーション、ブーゲンビリア、バラなどが咲き乱れ、白壁にはカラフルな花の色がよく映え、またそのデコレーションも各パティオ個性があり、とにかく、花の祭典、色の祭典といった感じです。

パティオに足を踏みいれた瞬間、目に飛び込んでくる溢れんばかりの色とりどりの花と香りに、一瞬心地よいめまいがするほど。

訪れる人たちをあっと驚かせるパティオ、花の香と存在感で歓喜に満ち溢れたパティオ、シンプルながら手入れが細かいレベルの高い坪庭のようなパティオ、とにかく“花を愛でる”、“花見を楽しむ”、“四季を感じる”という感覚をDNAレベルで持って生まれた私たち日本人には、とにかくワクワクしてしまう、かなりテンションの上がってしまうパティオ祭りです。

スペインでは基本的に、四季を感じ、花を愛でる習慣がないのですが、このコルドバのパティオ祭りは異例といえます。

パティオに入った瞬間、老若男女、スペイン人、外国人、日本人、国籍問わずその小さな空間にいる全ての人が『わぁ~』と感嘆の声を上げるのを何度もパティオ内で耳にしました。

花を愛でることで、年齢も、性別も、国籍も関係なく皆が一つになるってこういう瞬間なのかな?と感じずにはいられない、平和の象徴的な、春を謳歌するお祭りといえます。

パティオ祭りの5月上旬は、『コルドバを訪れるには、一番最悪のシーズンね』と地元の人は言っていました。私もそう思います。

この時期は、旧市街の狭い路地がどこもかしこも人、人、人で埋め尽くされ、前進もできなければ後進もできない、いったいどこの列に並んでいるのかも分からない、人混みを見に行くようなものです。

それでも、1時間以上行列に並んでも、パティオの中に入った瞬間、それまでのことを一切忘れてしまうくらいの驚きの空間がそこにはあり、そこを出た後、もっとすごいパティオがあるんじゃないかと私たちを期待させ、分かっていてもまた別のパティオ見たさに行列に並んでしまうんです。

さて、コルドバのパティオ祭りですが、大体のイメージは、つかめたでしょうか?人混みは嫌だという方もいるでしょう、でも、“百聞は一見に如かず”と言います。個人的には、是非訪れていただきたいおすすめのお祭りです!!

『パティオ祭りを楽しむコツは?』

楽しむコツ その1

毎年、50軒程参加するパティオですが、どうせなら全部見てみたいと思いますよね。ご多分に漏れず、私もコルドバに到着した瞬間は、『全部見てやる!!』と意気込んでいましたし、余裕で見れると思い込んでいました。

そこで、全てのパティオを見学したい方は、平日に数日コルドバ市内に滞在できるようにプランを立てましょう!

次に、私のように急に思い立って突然週末に行こうと計画を立ててしまった方は、週末のためかなりの観光客が集まり、全てのパティオを見学するのは、まず不可能です。

そこで、全てを見られない代わりに、去年のコンクールで1位、2位、3位だったパティオだけ見学する。もしくは、行列の出来ていないパティオばかりを見て回る。のどちらかに決めましょう!

ちなみに、私は最初、行列のないパティオを数軒見て回りましたが、『コンクールというだけあって賞を獲得するパティオってどんなにすごいんだろう?見てみたい!!』という欲求が湧き始め、途中から行列に並ぶ覚悟で、1位、2位、3位と賞を取ったパティオだけは見ると決意しました。

その結果、“やはり賞を獲得するパティオは、違いました。わざわざ並んでみる価値は、ある!!”と感じましたね。

あと、もう一つ、週末滞在の方は、なるべく早起きしましょう!人気のパティオはオープン前からもうすでに行列ができ始めます。

ちなみに、パティオのオープン時間ですが、コンクールに参加のパティオ、コンクールに不参加のパティオとオープン時間が異なるので注意しましょう!

コンクール参加パティオのオープン時間: 月曜~日曜 11:00-14:00、18:00-22:00

コンクール不参加のパティオのオープン時間: 11:00-14:00

※コンクール不参加のパティオは、美術館や博物館、公共施設であることが多いため営業日も施設によって異なります。各施設の公式サイトなどで確認することをお勧めします。

楽しむコツ その2

まずは、パティオ祭りの地図を入手しましょう!観光案内所や、各パティオの入り口などにパティオ祭りの地図が置いてあったりします。

この地図には、コンクールに参加しているパティオ、コンクールには参加していない一般公開のパティオが全て記載されています。この地図を見ながら効率よくパティオ巡りをする計画が立てられます。

また、この地図に記載されているのは、パティオの位置だけでなく、仮設の公衆トイレやインフォメーションの場所、パティオのオープン時間などの詳細、パティオ祭り期間中のイベント情報も日付事に記載されています。

パティオ祭りでは、期間中に夕方から夜にかけて、フラメンコショーや音楽コンサートなども行われイベント盛りだくさんです!!

地図が入手できない場合は、お手持ちの携帯でパティオ祭りの公式サイトから入手することも可能です。

パティオの地図やその日のイベント情報を簡単にをチェックすることも可能ですし、また去年賞を獲得したパティオがどのパティオかも分かるようになっているLa fiesta de los patios de Cordobaの公式サイトがとても使いやすく便利でおすすめです!!このサイトは、パティオ祭りのシーズンになると、毎年更新されるようです。

楽しむコツ その3

ここでは、コルドバにもパティオ祭りにも初めて来てみたけれど、パティオがいっぱいありすぎて、どこをどう回ったらいいのかよく分からない方へご参考になれば良いなと思います。

コルドバという町は、旧市街全体が歴史地区として世界遺産に登録されている、とにかく見所の多い町です。

パティオ巡りもしたいけどコルドバ観光もしたいという方は、多くいらっしゃると思います。ましてや初めての滞在ならなおさらでしょう。

そこで、パティオ巡りもコルドバ観光も両方楽しむコツをご案内したいなと思います。

1.パティオ祭りとコルドバ観光を両方楽しみたい方は、コルドバ観光で見逃してはいけない、メスキータ、アルカサールなどは、オープン時間よりも少し前に入場券売り場に行くぐらいでちょうどよいでしょう。

メスキータとアルカサールでは、公式サイト上で入場券の事前購入ができないため、特にコルドバ滞在が週末にかかる方は、入場券も含まれる現地のガイドツアーに事前予約をして参加するという手もあります!!

パティオ祭り期間中は、通常以上の観光客が集まり、週末ともなるとその何十倍も観光客が集まり、行列に並ばなければならないのはパティオだけではありません。

ちなみに私は、アルカサール前の長蛇の列を目の当たりにした時、飽きらめるのが賢明だと判断し、入場することができませんでした。

スペイン在住者は、また来る機会を得ることがあるかもしれませんが、日本や他の国から計画を立てて来られる方は特に、入場券付きのガイドツアーなどを利用して事前に綿密なプラン作りをされることをお勧めします!!

コルドバ観光の公式サイトでも様々なコルドバのガイドツアーの空き状況や予約ができるのでご参考にしてみるもいいかもしれません!

コルドバ市内の主な観光スポットのオープン時間表はこちらをご参照ください。

2.参加パティオが集まる地域は、パティオ祭りの公式サイトを見ていただくと分かりますが、大きく分けて6つのエリアに分かれています。

旧市街から離れた地域にも参加パティオはあり、そちらの方も気になるところですが、初めてコルドバを訪れた方は、コルドバの旧市街、歴史地区の雰囲気を楽しみながら回れる、Juderia(ユダヤ人街)とAlcazar Viejo(アルカサール・ビエホ)の地域を中心にパティオ巡りをされるのが良いかもしれません。

この二つのエリアは、コルドバの旧市街の中でも人気の観光エリアと重なっていることもあり、パティオ巡りも観光客が集中しやすいエリアです。

パティオ巡りはやはり、パティオがオープンする時間よりも少し前からこの辺りをウロチョロしているくらいでちょうどよいでしょう。

3.パティオ祭りには、コンクールに参加するパティオとコンクールに参加しないパティオとあります。コンクールに参加していないパティオには、Fuera de Concurso(コンクール参加外)という意味で 1FC,2FCと地図に番号がふられています。

そして、これらのコンクール参加外のパティオは、公共施設や美術館、博物館内のパティオで有料の場合もあり、そのため待たずに入場できる穴場であったりします。

このコンクール不参加パティオの中で一つおすすめなパティオがあるのでご案内したいと思います。

中でも、Palacio de Viana(ビアナ宮殿)は、おすすめです!!

この宮殿の敷地内には12の異なったパティオがあり、それぞれ見ごたえがあります。有料ですが、一度に12の異なったパティオが楽しめるのがうれしいです。

料金は、パティオのみの入場券、パティオと館の入場券と2種類あります。時間のある方は、館内の見学もおすすめです。

Palacio de Viana公式サイトはこちらを参照

場所の地図はこちら

営業時間、入場券のご案内はこちら

コルドバ観光の公式サイト情報

・コルドバ観光の公式サイト Turismo de Cordoba(英語)

・コルドバ観光情報サイト Cordoba 24(英語)

・コルドバのパティオ祭り公式サイト La Fiesta de Los Patios de Cordoba(英語)

やはり春の訪れが一足早いアンダルシア地方では、春を謳歌する様々なお祭りが各地で行われます。今回ご紹介しましたバレンシアの火祭り、コルドバのパティオ祭り以外にも、セビーリャのフェリアやへレス・デ・フロンテ―ラの馬祭りなども有名です。また順にさまざまなスペインのお祭り情報もご紹介していきたいな~と思っています。

お役立ちお天気サイト

3月~6月にかけての一般的なスペインの気候の特徴をお話しましたが、よりリアルなお天気情報は、やはり天気予報サイトなどで確認した方がよいでしょう。

春は秋同様、天候が不安定になりやすい季節の変わり目のため注意も必要です。

2月~3月にかけては特に、季節の変わり目で天候が不安定になりやすい時期でもあります。

3月は卒業旅行、4月から5月にかけてはゴールデンウィークと、この時期にスペイン滞在を予定されている方は、多くいらっしゃると思います。なるべくリアルな現地のお天気情報を入手することをお勧めします。

そこで、いくつかある天気予報サイトの中でも比較的情報が正確で、内容も細かく詳しいスペインの天気予報サイトをご紹介したいなと思います。
1週間ごと、1時間ごとの天気、最高気温、最低気温、風速、降水量、UV量など細かい情報が分かるので旅行プランを立てたり、旅行に持っていく服装などの準備の目安にもなって便利です。
スペイン政府が運営しているサイトなのでわりとリアルなお天気情報が確認できます。また、具体的な地名を入力するとその地名のリアルなお天気情報が確認できるのでかなり便利です。
スマートフォンにもアプリをダウンロードできるので、スペイン滞在中はこのアプリをダウンロードしておくとけっこう便利です。
AEMET(Agencia Estatal de Meteorologia)(英語)